2015-02-28

日々雑記 2015 Feb. #3

21日(土)

そういえば死んだじいさんは、冬場、カニの身に二杯酢とか三杯酢でなく、ただの酢をかけただけのものをアテに燗酒を飲んでい た。ときどきひと口もらっていたが、うまいものだった。貧乏なわたしは、ただいまカニカマに酢をかけたものをアテに飲んでいるが、これもなかなかいけるのだな。


もちろん酒を飲んでいる場合でないことは重々承知之助なのだが。


22日 (日)

午後10時過ぎ、やっとこさ明日納期の仕事が完了したが、明々後日、また別の締め切りがやってくる。そしてそれが終わっても、次々にほかの締め切りはやってきて、とにかく3月なかばまではこの調子。そんでまた次年度はすぐそこなわけだったりして、まったく気は休まらない。しかし休めたい、というわけで、旅行の計画は立てた。連休はムリなので日帰りだけど、それをたのしみに生きていける。目の前にエサをぶら下げておけば、それを食おうとガムシャラに走る程度に人間の出来が単純でよかった。


24日(火)

朝、本をかばんに入れるのを忘れた。通勤電車内は激しい妄想でしのぎ、昼休みに書店へ行き、積んであった『想像ラジオ』(いとうせいこう 河出文庫)を買った。第一章を読んだ。動揺せずに読むことができなかった。わたしはこれを読み終えることができるのだろうか。

想像ラジオ (河出文庫)
いとう せいこう
4309413455


25日(水)

仕事はなんとか間にあった。 よかった。さてメシにしよう、と塩漬けきのこの瓶を取り出すと、漬け汁が濁ってきている。本来発酵させるものではあるのだけど、自分がテキトーにつくったものは、これが発酵だか腐敗だか見極められんので困る。まあ妙なニオイはしないので、大丈夫だとは思うが、火は通して食べるほうがよかろう。というわけで、じゃがいもと煮てカレーにした。




ハラはこわさなかったので安心……じゃなくて、怪しげなものでもとりあえず食ってみるということをやめるべきだろ、普通は。こんどから半分の量でつくろう。

【我が家におけるロシア年2015】
 チェーホフ 『カシタンカ・ねむい』読了。軽やかなユーモアは極上。9編の収録作品は、それぞれが異なった味わいをもち、どれも素晴らしいのだけど、わたしは「かき」と「富籤」が特に好きだ。「かき」では、仕事にありつけずに物乞いをしようと決めた父親に連れられた子供が、食べるどころか見たこともない「かき」について空想するのだが、その子の「空腹」という現実が、想像に次第に侵入しはじめ、その場に漂っている飲食店の食べものの匂いから、寒い日に夏外套を着て震えている父親の様子につながっていくあたりの上手さには惚れ惚れする。「富籤」は、落語的な息づかいを持つ作品。妻の買った富札の号数が掲載されているのに驚いて新聞を取り落とし、番号を確認するのを先延ばしにして(この時点で可笑しくてたまらん)、あれこれ空想し、それが徐々に夫婦ともどもお互いへの不信を募らせていくことになるさまが、もうどうにも可笑しい。どの作品にも、センチメンタリズムが一切感じられないのがいい。ほんでまた神西清の訳文の見事なこと!

カシタンカ・ねむい 他七篇 (岩波文庫)
チェーホフ 神西 清
4003262352


26日(木)

夜、明太蒸し豆腐と梅割り焼酎。


ほぐした辛子明太子に酒少々混ぜて、豆腐にのっけて鍋で蒸すだけ。葱が切れていたので、イタリアンパセリをのせた。


27日(金)

本日のお買い物: 『塔本シスコ 絵の手帖』(平凡社コロナブックス)


あと、葉たまねぎというものも初めて見たので買ってみた。八百屋のおっちゃんに「ぬたにするといいよ」といわれたので、明日つくってみよう。


28日(土)

【我が家におけるロシア年2015】
チェーホフを読み終わったので、いま通勤時に読む本として、図書館で借りてきたゴンチャロフの『平凡物語』 (岩波文庫)を持ち歩いている。

平凡物語(上) (岩波文庫)
ゴンチャロフ 井上 満
4003260651

上巻の半分ほど読んだのだけど……面白さを感じられない。どうしよう。

本日のロシア関連事業は「新たに塩漬け発酵キャベツを仕込む」。

前に漬けたものは食べつくしてしまったので、新しいのを仕込んだ。今回は『平凡物語』といっしょに借りてきた、『ロシアの保存食』(荻野恭子 東洋書店)のレシピでやってみた。

ロシアの保存食
荻野 恭子
4864591822

前回は刻んだキャベツとにんじんを塩もみして瓶に詰めたのだけど、こちらのレシピは、キャベツとにんじんを刻んで瓶に詰めたところに、漬け汁を注ぐやりかた。漬け汁の配合が同じなので、きのこの塩漬けもついでにつくった。

そして晩酌。


葉たまねぎとアオヤギのぬた、塩漬けきのこ(未発酵)のみぞれあえ、焙り明太子(ちょっと焼きすぎた)。

2015-02-20

日々雑記 2015 Feb. #2

12日(木)

14日に会わないから、と同僚から、前倒しでなにやらいただいたが、それはメッセージつきのおかきであった。こういうものがあるのだね。




13日(金)

朝から作業。説明は控えるが、なにがつらいといって、使われることは決してないとわかっているものを作るのがつらい。不毛とはこのこと。まったく、お役所仕事ってやつはゴニョゴニョ……


とか遊んでしまうほどにつらい。しかしやらねば、たのしみにしていた京都文化博物館のフィルムシアターで上映する溝口健二監督の『お遊さま』を観に行けない。

しかし結局午後2時過ぎまで遊んでしまった。人とはまこと弱きものよのう、 と嘆きつつ、しかし確実に my 尻 is on fire! であることを認識したので、心を入れ替えて仕事。おかげで5時ごろには目途がついたので終わってはいないが映画を観に。

いや、素晴らしかった。構図が完璧。宮川一夫のカメラワークが神技。そして乙羽信子が超カワイイ。

帰宅して、仕事の続き。なんだかんだで結局11時過ぎまでかかったが、無事終了。湯豆腐でビール。


14日(土)

仕事帰りにアサリを買ってきた。砂を吐かせるべく、バットに並べて、海水くらいの塩水をアサリが完全に水没しない量注いで、新聞紙で蓋をする。しばらく放置しておくと


なんということでしょう。アサリたちがこんなにものびのびと。……不憫だ……食べるけど。

存分にリラックスさせたところで水洗いし、土鍋に移して酒を注ぎ、ごめんよごめんよと謝りつつ(食べるけど)、ふたをして火にかける。パカンと開く音がしたらふたを取り、開いたものから引き上げる。身をはずし、出たスープは土鍋に戻して水を適宜足し、豆腐、葱、白菜を煮て、味をみて、塩を加えて吸い物よりは若干薄めの味に調整し、具材が煮えた頃合に、剥き身にしたアサリを投入。


仕上げに醤油をたらして、食べるときに七味唐辛子を振る。

うまい。 うまいよアサリたち。ありがとうありがとう。残り汁でうどんを煮て、一滴あまさずいただきました。


16日(月)

【我が家におけるロシア年2015】 本日のロシア関連事業は、「きのこの塩漬けの仕込み」。


使用したきのこは、しいたけ、エリンギ、まいたけ、ぶなしめじ、やなぎまつたけ、たもぎたけ。べつにこれらでなければならない理由はなく、単に安価(100円以下)だったというだけ。きのこを湯がいて水を切り、にんにく、イタリアンパセリの茎、ディルとともに瓶に入れ、水600ccに、塩、砂糖、酢を各大さじ1、粒黒胡椒10個、クローブ3個を入れて沸騰させた液を注ぐ。なめこも買ったけど、なんとなく入れるのは躊躇した。しかし後で調べてみたら(先にやれ)、ロシア在住の方の「ぬめりのあるきのこも入れてつくる」という情報が。入れときゃよかった。


17日(火)

体がだるい。花粉が本格化しましたな……

仕事帰りに京都文化博物館で成瀬巳喜男監督の『山の音』を観る。これは学生のころ、ところも同じ文博で一度観ているはず。昔はよさがわからなかったけど、今回その凄さがわかった。家屋はセットのはずなのに、庭から縁側、そして室内へ注がれる光線の自然なこと。台風の夜、停電して蝋燭を使う場面など、ライトを使用してないとは考えにくいのだけど、本当に蝋燭の光だけで撮影したのかと思わされてしまうほど。尾形信吾(山村聰)の、邪気のなさがかえって周囲に圧力を感じさせているさまの見せ方が、実にさりげなくなめらかで、だいたい演技がオーバー気味な原節子もいい具合に抑え加減で、品格があるというのはこういう映画のことをいうのだろうな。しかし文博、考えたらわたしが学生のころから値上げしていない。消費税が5%から8%に上がっても、値上げしないでいてくれた。入館料大人500円、学生400円。これで常設展示と映画が観られるのだし、特別展があるときは、当然そのチケットで全部いけるのだから、もう素晴らしすぎる。


18日(水)

【我が家におけるロシア年2015】 本日のロシア関連事業は、「ロシアのビールを飲む」。



その名もБалтика(バルティカ=バルト海)。 No. 3 はピルスナータイプ。


鮭は出勤前に、塩胡椒してレモン汁とオリーブオイルをかけ、ディルとイタリアンパセリをのっけておいたもの。帰宅したらホイルに包んでオーブントースターで焼くだけ。塩漬けきのこもホイルに包んで一緒に温めた。じゃがいもとにんじんは塩茹でしてイタリアンパセリのみじん切りをまぶしたもの。考えたら香り成分ぜんぶ同じ……いいんですよ、ディルとイタリアンパセリが入ってるだけでロシアっぽくなるんですから!

バルティカ 3は、味わいはちゃんとあるけど、かなりすっきりクリアで、食べ物の邪魔をしない優秀なビール。 これはヘタするといくらでも飲める危険なビールかも知れぬ。

イサク・ディーネセンの『ピサへの道 七つのゴシック物語1』を読み終える。これは凄い。「猿」など、荒唐無稽という言葉が追いつかんほどの、開いた口がふさがらんというかなんというか、わけわからんパワーとユーモアがゲージ振り切ってる感あり。「ピサへの道」がいい。これ、すごく好き。

ピサへの道 七つのゴシック物語1 (白水Uブックス 海外小説 永遠の本棚)
イサク ディネセン 横山 貞子
4560071861


19日(木)

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフの『カシタンカ・ねむい』を読みはじめる。 なんということもない日常をふと揺るがすなにものかの存在、その存在そのものも、やはりなんということもないもの、という感じ。恐ろしく繊細。ああ、「富籤」は落語に翻案するとよいのではないだろうか。いや、設定も主人公の行動も妄想っぷりも、なにもかもコレまさに落語ですわ。

カシタンカ・ねむい 他七篇 (岩波文庫)
チェーホフ 神西 清
4003262352


仕事帰りに文博で、五所平之助監督・田中絹代主演の『伊豆の踊り子』(1933年)観てきた。いや驚いた。あんな素晴らしい映画だったとは。リーフレットを見たとき、「サイレントで123分?長っ!」と 思ってしまったけど、ちっとも長く感じなかったのは、職人技の編集によるリズムのよさのおかげだろうか。いやー、ほんと素晴らしかった。 なんにも期待しないで観てごめんなさい。


20日(金)

3月半ばまでは、休日返上でこなさなければならない仕事でぎっちぎち、こうなるとどうしても、仕事以外のことが異様にはかどる。というわけで(なにがだ)、今日は朝から掃除、洗濯に励み、チェーホフとディーネセンを読み、旅行計画と、塩煮りんごと、発酵キャベツと塩漬けきのこを使ったシチーができあがった。仕事はできあがらなかった。けど、まだ二日あるから。大丈夫だから。とかいい出すと、これまで決まって危なかったけど、今回は大丈夫だから。だから。


酸っぱいシチーうまい。

2015-02-10

日々雑記 2015 Feb. #1

1日(日)

朝起きて窓の外を見たら、ぼたん雪がほたほたと降っている。誰とも会わず、なにもない日。ほかの部署に人はいるが、わたしの部署にはほかに人はいない。ひとりで仕事するのは、気楽でいい。

新しいブログをはじめてみたら、笑ってしまうくらいページビューが少ない。以前の二十分の一もない。前もっておしらせした、ごくごくわずかな方たちと、某呟き処で知ってくださった方たちだけに見てもらってるというのが、すがすがしくていい気分。


3日(火)

今日は疲れてなにもつくる気になれないので、なにかできあいのものでも買うべく仕事帰りにスーパーに寄ると、あっちでもこっちでもやたらに太巻きを売っていた。神社でご祈祷済み、なんてのまである。パンコーナーにさえ、見た目のり巻きみたいなロールサンド?が。わたしが子供のころは、こんな大騒ぎはしてなかったように思うんだけど。鮮魚コーナーで、穴子の入ったのを1本買って帰り、躊躇うことなく2cm幅に切って(太巻きは切って食べるものだ)、恵方も向かずに食べた。かろうじて「無言で」という作法は守ったが、それは単に話し相手がいないという理由による。

しかし、たこ焼き(→「日々雑記 Jan. 2015」)と同じく、太巻きもひと口では食べにくいので、どこからかぶりついたら効果的(「ふた口めにはかんぴょうときゅうりしか残っていない」などということがない、という程度の意味で)なのか、いつも悩む。比較的断面積の大きいたまごはふた口に分けるべきか、とか。


4日(水)

2015年を「我が家におけるロシア年」と勝手に決めて、『カシタンカ・ねむい』(チェーホフ 岩波文庫)を買ってきた。『亡命ロシア料理』(ワイリ/ ゲニス 未知谷)はいま注文中。これから出る『スペードのクイーン/ベールキン物語』(プーシキン 光文社古典新訳文庫)も、すごくたのしみ。


カシタンカ・ねむい 他七篇 (岩波文庫)
チェーホフ 神西 清
4003262352


亡命ロシア料理
ピョートル ワイリ
4896424581


スペードのクイーン/ベールキン物語 (光文社古典新訳文庫)
プーシキン 望月 哲男
4334753051


ということで、


こうね、"квашеная капуста"も""も、なんの説明もせず呟いてみたのだけど、だれもなんにもツッコんでくれなかったので少々寂しい思いをしたりして。

ああ、は美味かったですよ。あっさりしてるけど、квашеная капустаが複雑さを醸し出しててですね(←やめとけ)


5日(木)

本日の夕食はマカロニチーズ。ゆでたマカロニ、たまねぎときのこの炒めたのに生クリームをどばどばかけ、さらにあろうことかチーズを大量にのせて焼いたもの(推定3万キロカロリー)。


さすがに食後気持ち悪くなった。トシには勝てんのう。今後は半量(推定1万5千キロカロリー)にする。


6日(金)

さて、現在「我が家におけるロシア年」(勝手に開催中)ということで、ロシアっぽい(※勝手なイメージです)夕食にしてみた。
ライ麦100%のパン、チーズ、きのこのオムレツ。


 しかしパンはドイツパンの店で買い(独)、チーズはカマンベール(仏)、きのこはしいたけとしめじとまいたけ(日)、ワインはカリフォルニアワイン(米)という多国籍構成なのに、(露)物件なし。ロシア年の行く末に暗雲がたちこめている。せめて、せめてウォトカでもあれば……


7日(土)

休日だけど、家で仕事。仕事の合間に……いや、ウソはやめよう、まったく仕事する気になれなくて、夕方まで遊んでいたんだけど、某呟き処での会話で、今夜の酒とアテは早々と決定したのであった。


いうても昨夜の残りの黒パンとチーズ。それにオレンジ・マーマレードをプラスしただけ。しかし黒パン+チーズ+マーマレードにウィスキーって、なんでこんなに合うん?

パンもチーズもマーマレードも、すべて食いつくしてもなお、誕生祝にもらったチロルチョコをかじりながら飲むというロクでもない飲み方をしていたけれども、明日は仕事、いいかげんケリをつけましょうか。シメにきつねそばってのもいいよね、と湯を沸かし、紺色がテーマカラーのカップ麺のフィルム包装を破り、あ、そうかー、きつねだから「紺」なのかー、と上機嫌にふたを開けて、と……ちょっと、ちょっと待ってください、
きつねそばに豚肉入れるってのは、どこの風習なんですか!(涙目)
……もう……もう緑のた〇きしか買わない(泣き崩れる)


10日(火)

本日発売の『スペードのクイーン/ベールキン物語』を買いに行くと、『亡命ロシア料理』も入荷していた。うれしい。

仕事帰り、酒屋への道が寒い。寒いというより冷たい。そんななかを歩いていると、 空気が澄んでてきれいなような気がしてくる。してくるけど、それぜったい気のせいだから。騙されんじゃねーぞ、と車通りの多い道を歩きながら思う。騙されてんのはオマエだけだという声が聞こえたような気がしたけど、それも気のせいだから。酒屋でビールとオイルサーディンを購い、帰宅。

とっとと酒飲んで本読んで寝よう。世間様は休みかもしれんが、わたしは明日も仕事なんだ。

本日購入のロシアセット。


いいねえ。わくわくする。