2015-12-31

日々雑記 2015 Dec. #3

22日(火)

今日は一日鼻の中が異様に痒かったのだけど、なんだろう。アレルゲンが目に見えたらいいのに。嘘です、やっぱり嫌です。


23日(水)

今朝見た夢。大学のなにかの授業で、いくつかのグループに分かれ、お題を与えられて短編映画を製作することになる。お題は「海と太陽」。わたしの振り分けられたグループでは、わたしがディスカッションの進行役をして、これはと思うキーワードから連想するものを聞き出すなどしてイメージを構築、ストーリーの流れをまとめ、脚本がもうすぐできあがるという頃にトイレに行って戻ってきたら、なぜかすでに沖縄ロケ敢行、特撮てんこ盛りの一大スペクタクル短編映画ができあがってて、上映会をやっていた。映画のラストシーンは、主人公の兄の体から突如骨のような質感のトゲトゲしたものが生え出して竜のような生き物になり、神様のようになった弟をその背に乗せて、夕日に向かって海を行くというもの。クレジットにわたしの名前はなかった。

昼飯はカレー炒飯。本日のは常識的な量(比較的)。




24日(木)

けんちん汁はつくっているうちに驚くほど大量になるのだけど、これはなにかの呪いであろうか。今日つくったものも、なにをどう見積もっても確実に年を越せる量があるのだが。適量をつくれた経験などないわぬははははは。というわけで、朝食べて、昼は弁当にも持っていった。ちなみにメインは昨日の残りのカレー炒飯。笑うくらい合わない。カレーが調和をぶち壊しにしていた。そして夜、皆さんローストターキーだのクリスマスプディングだのクリストシュトレンだのブッシュドノエルだのを食べているであろうに、我が家のクリスマスディナーは弁当で昼にも食べたけんちん汁(のみ)。うん、ビール飲もう。


25日(金)

夜明け前、何者かがぐーっ、ぐーっ、と上から押してくるような感じがして身動きが取れない。重い。もうちょっとこう、ソフトに願います。まあ、これは眠ってしまうと解消する問題(体が眠っていて、頭が起きている状態らしい)なので、むりやり眠る。

起床。朝飯は当然けんちん汁。ええ、まだあります。

クリスマスランチはけんちん汁をうどんに。


食べ終わったら、美術館へGO!

……えーと、美術館行ってきました。わりと、というか、かなりこぢんまりしていた、というか、え、もう終わりなん!?というか、タイトルと展示内容がいまひとつしっくりきていないというか、チケットが同じ値段だと思ったら京博の「琳派」とか奈良博の「白鳳」ってものすっごいお得感があったというか、まあそんな展示でした。ええ、「白鳳展」報告、まだ書いてないです。贔屓の画家の作品が見られてうれしかったので、お得感とかまあどうでもいいんですけど。ヘラルト・テル・ボルフとカレル・ファブリティウスは、もうほんとに好き。あと、今回はピーテル・デ・ホーホとフローリス・ファン・スホーテンの作品がよかった。とかいってると、なにを見行ったかわかってしまうな。いいけど。


まあね、この展示に行ってきましたよ。いっちゃった。でも、「フェルメールとレンブラント 世界劇場の女性」ってタイトルは、ホントにどうなの。出品数はフェルメール1点、レンブラント2点で、どちらも特に「女性」を描こうという意識で描かれた作品ではないと思うし、全体を見ても、女性が焦点の展示には少なくとも見えなかった。フェルメールもレンブラントも、作品自体はすごくいいな、好きだな、と思ったんだけどね。

夜、 明日の弁当のために「栗マロンかぼちゃ」というのを蒸したら皮がアホみたいに硬いんだけど、この品種はそういうもんなん? ほんでこのネーミングはどうなん? 栗マロンて。まあいいや、けんちん汁食べよう。

夜明け前に金縛りにあい、朝飯は残り物のけんちん汁、昼飯はけんちん汁にうどんをぶち込んで食い、出かけた美術展はなんだかアレだったけど、好きな画家の 作品が見られたしまあいいかと自分を納得させ、晩飯はやはりけんちん汁であった、そんなクリスマスデイが終わろうとしている。皆さまに幸多からんことを。


26日(土)

本日の弁当。


名づけて「レツゴー三匹(めざし)弁当」。おつゆはけんちん汁(まだある)。

購入した本たち。『罪と罰を読まない』、『ハザール事典』(男女)は自分用。姪っ子たちに「いしゃがよい」。おねえちゃんに「わたしのワンピース」といもうとちゃんに「かおノートモンスター」をお年賀用に包んでもらった。


「いしゃがよい」、すばらしいんだ。書店で見て、わたしは危うく泣きそうになった。いまだれも見てないから号泣しているんだうぉおおおおお

いしゃがよい (幼児絵本シリーズ)
さくら せかい さくら せかい
4834081648


わたしのワンピース
にしまき かやこ
4772100180


かおノートモンスター (WORK×CREATEシリーズ)
tupera tupera
4905122376



27日(日)

貸したこと自体を完全に忘れていた本が返ってきた。お礼にと缶ビール1本が添えられていた。酒を少々控えようかなと思っていた矢先の出来事ではあるが、仕方ないので飲むことにする。しかしこれ、冷えてないので、帰りにコンビニに寄って冷えたヱビスを買ってきた。これで万全である。本末転倒ともいう。アテはいうまでもなく、けんちん汁。好きだけど、さすがに飽きてきた。粕汁に仕立てなおすというのもアリかな。鰤とか塩鮭のアラを焼いて入れて。……量が振り出しに戻るかも知れぬが。


28日(月)

朝飯は、なめこがゆ。


なめこは、以前醤油煮にしていたのが冷蔵庫の奥から発見されたもの。このぬめりがなめこ由来のものか、はたまた別の原因によるものかが気になるところだが、えいと乗っけてざざざと食べてしまった。その後なにごともなく、糸を引いていたのはなめこのぬめりだったようでなによりであった。

昼飯に鮭のカマを焼いた。


というわけで、今晩からキミは粕汁だ。さようなら、けんちん汁。

午後は掃除。風呂とトイレと台所を狂ったように磨く。


台所はガスレンジ、水まわりがたいそうきれいになり、なんの気なしに水を与えてみたらここまで育ってしまい、愛着がわいてきてどうにも困ったことになっている大根葉もうれしそうだ。換気扇はお見せできない。

さて、粕汁をば。


うん、ビールとは合わない。


29日(火)

みんな次々と仕事納めやがって……という気にしかいまはならない。わたしも納めたい。

イスマイル・カダレ『夢宮殿』、やっとこさ第三章に入った。いまのところの印象としては、

① テリー・ギリアム監督『未来世紀ブラジル』っぽい
② フランツ・カフカが引き合いに出されることがあるけど、ユーモアの感触がたしかにカフカっぽい

ってとこかな。例えば主人公のマルク=アレムを面接した高官。この人、面接してる間もドアの取っ手のあたりばっかり見てる人なんだけど、採用後、「選別課」に勤務していたマルク=アレムを呼んで、「解釈課」への異動を指示する場面で、こうですよ。
彼はそのとき初めてマルク=アレムに目を向けた。ただし顔ではなくて、からだのまんなかあたり、つまり、もし面前にいる相手がドアだったとしたら、取っ手がついているはずのあたりに目をやったのである (p.110)
おもろすぎるやないですか。


30日(水)

朝飯。


弁当。


そして晩飯。


朝と昼は平常モード粕汁、夜は闇鍋モードというか、さっさと食べてしまわなければならないきんぴらごぼうや豆やキムチなどをぶち込んだ、汁としての最終形態である。なんとか年内に消費しつくしたい、って明日で終わりではないか。2015年は「我が家におけるロシア年」だったはずなのに、なにゆえにわたしは粕汁にまみれているのだろう。とか某所で呟いていたら「クワス→クヮス→カス→粕汁てことで」というすんばらしいリプをいただいた。鍵アカなので、許可を得て引用しました。兄上、いつもありがとうございます。ロシアの謎飲料、黒パンが原料のクワス。子供読み物のロシアの物語に登場したクワスの解説を読み、子供心に「『パン』を飲み物にするて!」と思ったけど、日本酒だっていってみればごはんが原料。意外においしいらしいクワス。まだつくる勇気はわたしにはない。

夜、遅れに遅れていた奈良報告最終回を更新。( → 「奈良へ…――仏像三昧 奈良国立博物館編」 


31日(木)

本日帰省。目的地の2駅前で対向列車待ち合わせのため停車していたのだけど、その対向列車が鹿と接触したため電車が遅れて到着したうえに、駅を出て歩き始めた途端に雷鳴轟き雹が降り始めたのだけど、これはなんの罰なのでしょうか。


なんだかわからんけど、甘んじて受けます。皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。来年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

2015-12-30

奈良へ...――仏像三昧 奈良国立博物館編

前回の更新以来、えらく時間が経ってしまったのは、資金不足により『白鳳展』の図録を購入しておらず、『正倉院展』 に行ったら買って、それを見ながら書こうと考えていたにもかかわらず、『正倉院展』には行けなかったという事情があったりするのでした。しかたなく出陳品一覧を見ながら記憶を頼りに書いております。記述に不正確なところがあるやもしれませんが、まあそこはインチキ野郎が書いてるので仕方ないと諦めていただけるように、これまでたゆまず精進を重ねてきてよかった、そう心から思う麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。今後も胡散臭さに磨きをかけてゆく所存であります。お、お見捨てなきよう……


(承前)

さて、博物館。


(来たときに写真を撮り忘れたので、出てから撮りました)

本日のメイン・イベント、「白鳳―花ひらく仏教美術―」である。奈良博開館120周年記念特別展なのである。気合が入っているのである。7月18日にはじまり、本日が最終日である。やっとこさ来れたのである。では、見るのである。

受付で京博のパスを呈示して、スタンプを押してもらう。


「開館120年」「白鳳展」とある。展示ごとにスタンプつくるんだなあ、とかどうでもいいことに感心する。

さて、「白鳳」だけれども、歴史上「白鳳」という年号はなく、「白鳳時代」というのは文化・美術史上の時代区分で、大化の改新~平城遷都あたり、飛鳥時代と天平時代の間ですね。この時期の仏像は、飛鳥時代のなんというか「宇宙から来ました」みたいな仏像とは趣が違い、顔は大きくて丸く、ほっそりした体に小さな手、と子供のようなかわいらしい感じがするものが多いという印象なのだけど、さて、どんなものだろうか。さっそく行ってみよう。

プロローグ「白鳳とは」。「白鳳時代」を定義するための文献(明治・江戸時代の史料)2点が展示されていた。読んではみたけれども、わたしはとくに歴史ファンではないので、ほとんど記憶に残っていない。

第 1章「白鳳の幕開け」。このあたりは瓦など、寺跡の出土品が多く展示されていて、わたしのすぐ前で見ている、歴史ファンらしい少年が熱心に見ているのに微笑ましい気分になっていたところ、わたしのすぐ後ろに突然やってきた、歴史ファンらしいおっさんの異様に荒い鼻息が背中から首筋に抜けて、ぞっとして急いで逃げたので、実はあまり記憶がない。

第2章「山田寺の創建」。有名な仏頭は8月下旬の10日間だけの展示で、パネル写真が置かれていた。ホンモノは興福寺の国宝館の、入ってすぐのあたりにいらっしゃる(はず)。ここでいちばん目を引くのがこのパネルという……しかし、阿弥陀三尊像(7世紀)、これよかったなあ。素朴な感じで。

第3章「金銅仏の諸相 Ⅰ」。さて、ここからは本格的に仏像が目白押し。押すな押すなの大騒ぎ。ってなにをいっているのだわたしは。仏像は押さないし、騒がない。騒いでいるのはわたしの心である。しかしここはすごかった。素晴らしい仏像が次から次へと、もうわたし走馬灯見ちゃってるのではないか、これお迎えなんじゃないかと思うほどに、続々と登場するのであった。東京は深大寺よりお越しの釈迦如来椅像(7世紀)、若々しく明るい微笑み、簡素な表現が素敵な有名人(※人ではない)。島根は鰐淵寺よりお越しの、観音菩薩立像(692年)、お顔立ちが愛らしい。そんななか、わたしの心をわしづかんだのは、兵庫は鶴林寺よりお越しの、観音菩薩立像(7世紀)。このヒト(※人ではない)めちゃくちゃいい。帰ってからお寺のホームページを見てしまったくらい、惚れましたです、ええ。ホームページの解説によると、日本の仏像の代表として、ドイツやアメリカにも出張なさったそうで。まさに、わたしがもっている白鳳の仏像の印象にぴたりとあてはまる、愛らしく美しい仏像。ポストカード買いました。


ポスカご紹介。ほら、いいでしょう。

第 4章「薬師寺の創建」。ドキドキする。なにを隠そう、学生時代のわたしを仏像沼に突き落としてくれた、あるいは引きずり込んでくれたのが、薬師寺の薬師三尊像なのだ。そのときの感想を再現しよう。「うわ、真ん中のヒト(※人ではありません)、なんかスゲー!両脇のヒトたち(※人ではない)、キレーだなあ……」 なぜ再現が可能であるかといえば、この程度の感想であるのに加え、あれから20年近くが経つ というのに、わたしが仏像を見たときに感じることが一切進歩していないからである。1.カッコイイ! 2.キレイ! 3.なんかスゲー! この三種でわたしはだいたいすべての仏像を評価している。あと、4.でっけえなあ! てのもあるか。列挙してみると、どう見てもこいつ馬鹿ですね。

しかし月光菩薩立像(7~8世紀)はあいかわらず綺麗だ。そら1,300年以上綺麗だったのだ。というか、1,300年以上前の綺麗が、いまでも綺麗なのだということを思うと驚かずにいられない。感覚の点では、人間って変わらないものなんだなと思う。その表情は静かで、体は若々しくぱーんと張っていて、軽く曲げられた指先、柔らかく腰をひねった立ち姿は優美というほかない。またもや「キレーだなあ……」と見惚れてしまいましたです、ハイ。そして、ここが肝心な点なんだけど、背面も拝見できるのだ。そう、ぐるぐる回れるのですよ。「馬鹿と風車はよく回る」ということわざどおり(※そんなことわざはありません)、もちろんぐるんぐるん回りましたとも。お堂ではまず絶対無理なことだから、アホみたいに興奮した。また背中がね、素敵なんだ。

このほか、聖観世音菩薩立像((7~8世紀)もいらしている。こちらもお美しい。足首までの長さの衣がふわりと軽やかに見える。金属なのにね。


左が月光菩薩、右が聖観世音菩薩。

ここには、仏像以外にも、ものすごいものが。東塔相輪水煙(8世紀)。これにはまんまと吃驚させられた。普段、あの高い塔のそれも最上部にあって、遠目にしか見ることがかなわないものをそのまま持ってきて、目の前にドン!と置いてくれているわけで。こんな機会はまずないもんなあ。というわけでじっくり見る。こうして見ると、デカい。そして楽器を奏で飛ぶ飛天が、生き生きと軽やか。しかし、形状は炎のようなのに、なぜ水煙というのだろう。

第5章「金銅仏の諸相 Ⅱ」 。こちらもすごかった。バランスがこれ、どうなってるの?といいたくなるほどに、異様に大きな顔にほっそりした体、それに異様に小さな手を持つ仏さまなど、ほんとにいろいろあるのだなあと感心。みんな、かたいこといわない感じの、おおらかな印象の仏さまたち。

第6章「法隆寺の白鳳」。すごいですよ、美仏がこれまたぎっしり。国宝の観音菩薩立像(夢違観音 7~8世紀)、体形が優しい感じのこの方。横顔をどうぞ。


お美しい。

あと、これも国宝の阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏 7~8世紀)が、これまた美しいの美しくないの、ってどっちなんだって言い回しがあるよね?(またどうでもいいことをいってしまった) 文殊菩薩立像(7世紀)もキレーだったなあ、よかったなあ(だいぶ疲れてきて、キレーだとかよかったとかしかいえなくなってるな)。金龍寺の菩薩立像(7世紀)は、正面からお顔を拝見すると、なんかぽわんとした感じに見える(失礼)のだけど、この方、右斜め45度の角度で若干下から仰ぐ感じだとですね、超美形ですね。キメ角度ってやはりありますね。ちなみに正面顔はわたしの知り合いに似ていたりする。あ、三重の見徳寺から奈良博に寄託された三重県最古の木造仏である阿弥陀如来坐像(7世紀)も、なんかこんな人身近にいそうで、妙な親近感をもってしまった。仏像のことしかいってないけど、繍仏裂(7世紀)もよかった。このセクションでのお気に入りは、「金堂天蓋附属品」の縦笛吹いてる飛天(7世紀)。かわいい。しかし二尺以上あるんじゃないかな、あの笛。ものすごい野太い音が出るんではなかろうかと思われるのだが、いいのかそれで。そしてひとつだけ残念だったのは、法輪寺の伝虚空蔵菩薩立像(7世紀)の出陳が前期のみで、今回見られなかったこと。奈良博の仏像ライティングはかなりレベルが高く、仏像をじつに美しく見せてくれるので、法輪寺の収蔵庫で見るのとは一味違ってたと思うのだ。


このあと、第7章「法隆寺金堂壁画と大型多尊塼仏」、第8章「白鳳の工芸」、第9章「押出仏・塑像と塼仏」、第10章「藤原京の造営」と続くのだけれども、なにを見たのやら、記憶がはっきりしない。そしてエピローグ「古墳の終焉」 では、高松塚古墳出土品「六花文座金具」(7~8世紀)を見て、「こんな鍋敷きあったら欲しい」くらいの感想しか出ないほどに、疲れ果てていましたね、ええ。もうわたくし、フラフラです。酔いました。これで観覧料 一般 1,500円って安くないですか?

白鳳酔いともいえる症状に眩む頭をひと振りし、ふらふらと展示室を出るとそこはグッズ売場。しかし資金がない。図録を買う金はなく、仏頭メモパッド(そんなものがあったのだ)を買うよりは、とポストカードを5枚買ってその場をあとにし、ミュージアムショップへ向かう。見るだけだけど。ショップの手前には、このようなものが。


「これであなたも唯我独尊!誕生仏なりきりセット!」(21世紀)とか勝手に名前をつけてしまったが、奈良博はいいねえ。裏に回ってみると(べつに顔を出しに行ったわけではない。ないって)、


このようなものが。最初踏み台かと思ったが、蓮弁がついているということは、「唯我独尊お立ち台」(21世紀)だな。片づけられていただけのようである。


こういう状態。踏み台はちゃんとあった。

しかしここのミュージアムショップは充実している。ほしい本がありすぎて困る。困るが所持金がないため、なにを買うか悩む必要が今日はなくてほんとうによかった。大丈夫です泣いてないです。


ミュージアムショップの外の休憩スペースでは、仏像の写真パネルが展示されていた。ベンチに腰かけて、ペットボトルに詰めてきた水道水を飲みながら、ぼんやり眺める。このパネルは撮影禁止。しかしその反対側に、ちょっと面白いものが展示されていた。


仏像の手(印相)の部分のみの木彫(仏像全体の写真と解説付き)。こういうのがズラーっと並べてある、面白い。撮影禁止とは書いてないけど、撮っていいとも書いてないし、どうしよう……とこの前を行ったり来たり。そのうち向こうのほうから館の職員の方が歩いて来られたので尋ねると、素晴らしい笑顔で、「どうぞどうぞ、お撮りください。あちら(写真パネルの展示)はダメですけどこちらは大丈夫ですので」と。よろこんで撮らせていただく。ミュージアムショップでは、この展示のブックレットを販売していたので、次回行く機会があれば(そして資金があれば)、ぜひ買いたい。


奈良博を存分に(金をかけずに)楽しんで、館外に出ると、日がだいぶ傾いていた。鹿様方もおとなしい。そろそろおネムなのであろう。


逆光で見ると、角に毛が生えているのがよくわかるな。

さて、帰るとするか。一日楽しかったな……えっと、なんだキミたちは。


来たときにはまっっったく気づかなかったのだが、いつからいたんだ。まあよく考えたら、来たときは逆方向にある出口から出たので、仮に気づいていたとしたらそっちのほうを何故なのかよく考えたほうがいいわけだが。ところでこいつの角も毛が生えてるのだろうか、とか考えるとちょっと怖くなってきたのが奈良ショートトリップの締めくくりとは、うまいこといかんのう。そしてこの奈良報告のタイトルは実はダジャレなのだが、いっこもうまいことなかったのでおそらく気づいてる人もあるまいのう。精進せんといかんのう。危うく「精進せんとくん」とかいいそうになったが多分やめて正解だったのじゃろうのう。ではまたのう。

2015-12-20

日々雑記 2015 Dec. #2

11日(金)

市営地下鉄九条駅(S)から徒歩で九条大宮のみなみ会館へ。ベルナルド・ベルトルッチ監督 『暗殺の森』を観る。このあたりには昔住んでいたこともあって、よく行った店はまだ営業しているだろうかと気になった。九条から猪熊通を北上、スーパーおかもとで「京だしまきサンド」を買い、七条通まで出てそこから西へ、山陰線の高架下まで歩いて引き返し、大宮通を北上、島原商店街を往復、四条大宮から後院通を千本三条へ、そこから三条会商店街をぶらぶら歩く。ここまでの行程で、昔よく行っていた店のうち数軒は跡形もなくなっていたが二軒が健在なのが確かめられた。三条会の豆腐屋さんで薄揚げ(小)とねぎ納豆入り揚げ2ヶを買い、烏丸三条から北へ、烏丸御池駅(G)へ。映画館出てから2時間半歩いてた。九条大宮→四条大宮→四条烏丸→烏丸御池を寄り道せずに歩けば、だいたい5km弱だと思う。



ちなみにわたしが住んでいたのは、地図上の文字「教王護国寺金堂」の「寺」と「金」の間あたり。

帰宅後、読書会の課題本捜索。無事発見。


京だしまきサンドとヱビスで祝杯。


うまーい。


12日(土)

本日の帰宅ミュージック(鼻歌)はロキシー・ミュージックの"Love Is the Drug"でした。(なんの報告だ)

みなみ会館で今日からはじまった「ヘルツォーク傑作選 2015」で、『ヴォイチェック』を上映するというので、ゲオルク・ビューヒナー 『ヴォイツェク ダントンの死 レンツ』(岩波文庫)を読み返したいのだけど、例によって、積み本の山の中のどこにあるやら皆目見当がつかなくて、途方にくれている。

ヴォイツェク ダントンの死 レンツ (岩波文庫)
ビューヒナー Georg B¨uchner
4003246918


実家の母から「近いうちに野菜を送るので、都合のいい日を教えろ」というメールが来てはや2週間が過ぎなんとするのだが、その間わたしは「叔父さんのつくった新鮮なのが送られてくるから」、と大根を買わずにいたのであった。母よ、あなたの「近いうち」はいったいどのくらいの期間なのですか。わたしはだいたい1週間です。長くて10日。そして今日、近所のスーパーに八海山の酒粕が入荷していたので、粕汁が食べたくてたまらなくなり、とうとう禁断の大根に手を出してしまいました。しばらく送ってくれなくて結構です。

とかいってたら、今度の休みの日に送られてきそうな気がしてならない。


14日(月)

休日であるが、朝はいつも通りに目が覚める。昨日ブラウンマッシュルームがいちごパックに山盛りもりもりで破格の200円で手に入ったので、久々の「フル・ブレックファスト風」(豆は英国風の甘ったるいものじゃないし、ソーセジとかベーコンとかはないので、あくまでもそれっぽいもの)にしてみた。


その肝心の焼きマッシュルームと豆の色が似通っているのにもかかわず、隣に配置するという愚挙で盛り付け失敗。焼きトマトとブロッコリの間か、ブロッコリと目玉焼きの間に配置すべきであった。

昼飯はたまご2個、白ネギ1.5本、巨大ブラウンマッシュルーム2個、米2合分弱のごはんを使用し、ごまたっぷりで仕上げたフライパンからあふれんばかりの炒飯。明日の胃もたれが懸念されるお年頃だというのに、これを苦もなくたいらげ、あまつさえデザートと称してさつまいもとりんごの蒸しパンを食らう。さすがにどうかしていると思う。

朝・昼と、本日のナニがあまりにもアレだということで、夜のソレはコウいうことにした。


とはいえ、おかわり自由。ダメなあたし。(だってカリフラワーもブロッコリも各ひと玉蒸したんですもの)


16日(水)

本日は明け方に家を出ないと仕事に間に合わない日だったので、まだ暗い時間に起床、冷凍うどんで素うどんをつくって食べ、出動。

いつもより早い時間で、人通りも車通りも少ない道を歩いて仕事に向かう。わたしの進行方向に走って逃げようとするセグロセキレイを見ながら、道を歩いている鳥は人や車が近づいてきたとき、なんでギリギリまで走って逃げようとするんだろう、ということを考えていたのだが、飛ぶのと走るのを比べたら、やはり飛ぶほうがしんどいだろう。そりゃラクなほうがいい。鳥もひょっとしたら走って逃げ切れたら勝ち、とか思っているのではないかという考えにいたった。だから なんだということはないけど。

仕事終わり。わけあって、帰りの電車が1本遅いものになった。それがどうしたと思われるかもしれないが、出先の最寄駅には普通電車しか止まらず、それが30分に1本なのだ(さらにいえばそこから出先まではバス15分+徒歩10分くらいなのだが、そのバスが1日5本しか運行しておらず、最寄り駅からでは無理、それで一駅先――お察しいただけることかと思うが、そこは駅間距離の長い地域――まで行って、そこから戻ってくるバスに乗らなければならず、そっちのほうのバスも1日5本ということで、明け方に家を出るはめになったと)。

帰宅後、疲労と空腹のあまり、赤いき〇ねと緑のた〇きを、食べる時間を計算に入れ、時間差で用意して食い尽くすという中年にあるまじき暴挙に出たのであった。そのあと仕事をするつもりだったが気力がなく、少し休むつもりで横になったらそのまま3時間寝ていて、中途半端に寝たせいか頭痛がひどく、なにもできないので寝る。「ダメだコイツ」と思ったそこのあなた! わたしもそう思いました! 奇遇ですね! 目が覚めたら、お茶でもご一緒しませんか。


17日(木)

わたしは一日1~2回用足しに行く部署の人々から「背の高いほうのメガネの人」と呼ばれているらしいということが本日わかったのだけど、誰と比べているのだろうか。ウチの部署にメガネ(常時着用)はわたしひとりなのだが。まさかわたしのとなりにはいつも「背の低いほうのメガネの人」が見えていて、セットだと思われているとか……やめて怖い。

馴染みの書店の店長から、注文していた本が入荷したとのメール。明日行きますと返事。


18日(金)

休みである。なんと明日も休みである。……れん……きゅう(泣いてる)

賞味期限を大幅に超えたフェイジャオンの缶詰を発見したので、昼食はフェイジャオン・コン・アロース(豆とごはん)に。ごはんはこれまた賞味期限切れのインディカ米をにんにく入りのクミンライスにしたので、完全にブラジル風というわけではない。つけあわせは、蒸したブロッコリと、半割りにしたミニトマト、スライスしたブラウンマッシュルームを焼いたの。


うまい。

午後、本を買いに行く。昨日入荷連絡があった本のほかに、11月に店長氏宛のメールで注文していた『ハザール事典』も、さすがに入荷しているだろうとは思うがまだ入荷連絡はない。でも、この時期この店がクリスマスプレゼントでむちゃくちゃ忙しいのはよく知ってる(以前ここで働いてたから)。ただ連絡忘れてるだけだろ、と思って買いに行ってみたら、あにはからんや、注文そのものをし忘れていたんだってさ♪ どうしてくれよう。いや、べつにどうもしないけど。読む本は山積、急ぎはしないし。

というわけで、ハザール代の一部を晩飯代に充てた。晩飯(アップルパイ)と、本日購入した本。



そうそう、あれから6日。本日実家から野菜が届き、母の「近いうち」は3週間を含む期間であると判明しましたことを、ここに謹んでご報告申し上げます。


19日(土)

連休2日目。朝はシナモントーストとコーヒー。


最近は、だいたいトーストを焦がしている。故意にではない。


昼はたぬきうどん。京都のたぬき(きざんだ薄揚げと青ねぎのあんかけにおろし生姜たっぷり)。


むろん天かすのたぬき(ちなみにこっちは「ハイカラ」という)も好物だけど、冬はあんかけがうれしい。

夜は昼のあんかけの残りにブラウンマッシュルームを足したうどんに、七味とうがらしをたっぷりかけたの。


しかしうどんばっかり食ってるな。


20日(日)

今日は事務所にはわたしひとり。そんな日に限ってこれがまた異様に忙しい。サボっている暇すらないほどであったわ。ぬはははは。いや、いつもサボってるわけでは必ずしもない、必ずしも。

2015-12-10

日々雑記 2015 Dec. #1

1日(火)

今日は本を鞄に入れておくのを忘れた。通勤電車の中は激しい妄想でしのぎ、仕事中は昼休みに本屋へ行って何を買おうかとだけ考えていた。昼休み、本屋へ行った。あったら買おうと思っていた本はことごとくなかったが、法月綸太郎の『ノックス・マシン』が目に入った。財布を出した。258円しかなかった。ええ、文庫本1冊、カードで買いました。


2日(水)

毎週水曜は昼過ぎに仕事を終え、電車で帰ってくるのだけど、今日は乗換駅のところでたい焼きを売っていたので、ひとつ買ってコートのポケットに入れて帰ってきた。そのあったかさがうれしい。帰宅してなんやかやしているうちに冷めてしまったたい焼きを、オーブントースターで温めなおして3時のおやつ。


というか昼になにも食べていなかったので、このたい焼きはおやつではなく昼飯に相当するのであった。それにしても、数年ぶりに食べたのだけど、たい焼きってこんなんだったっけ?(なんていってもだれにも伝わらない)


3日(木)

仕事帰りに書店へ行き、頼まれていた用事を済ませ、映画館へ。わたしはなぜか見ず知らずのおばちゃんから、モノ(パチンコの景品のお菓子とか)をもらうことがよくあるのだけど、今日はとなりに座ったおばちゃんから飴ちゃんをもらった。そのおばちゃんが途中かなりの時間寝ていた映画は、ロベール・ブレッソン監督 『やさしい女』(なんという紹介の仕方だ)。当時17歳のドミニク・サンダの目力が凄い。映画は、ドストエフスキーの原作に忠実に、男にひとり語りさせる形式だけど、小説のほうでは、その語りのうちに男の罪が自分自身に対してもあらわになっていくのに対し、この映画では、結局なにが悪かったのか、男にはわからないまま(例えば、質屋の主人である男が、女の質草の十字架から、金銭的価値のないキリストをはずして返してよこす場面や、男がスープをふうふうと吹いて冷ましているのを女がじっと見ている場面などに、どこまでいってもこの二人が理解し合うことはないだろうということは、まあ、いうまでもないことだろうが、よく表れているでしょ)。結婚前に「すべてが無理」と女はいうのだけど、そのひとことにつきるのだろうな、などと思う。

そうだ、ドミニク・サンダといえば、ベルナルド・ベルトルッチ監督『暗殺の森』(デジタル・リマスター版)、ちょうど今みなみ会館で上映中なのだった。やはり観ておくべきであろうな。それと今年亡くなったマノエル・ド・オリヴェイラ監督 『アンジェリカの瞳』、これ予告編を見て傑作と確信した。観ねば。


6日(日)

少々具合が悪いので、葛根湯を飲んだ。あまりのことに某呟き処で呟いてしまった。


ほんとに、みんなは水か白湯で飲んでね!


7日(月)

昨日から熱が出ていて、今日行くつもりだった千本釈迦堂の大根炊きはあきらめたほうがよかろうと判断、一日寝たり本読んだり。法月綸太郎 『ノックス・マシン』(角川文庫)読了。

ノックス・マシン (角川文庫)
法月 綸太郎
4041033608

これが初法月綸太郎。ミステリ読みでもSF読みでもない(高校のころまで古典的なものは多少読んではいたが)わたしだけど、これは面白かった。終始ニヤニヤしっぱなしで、最後、ホロリとさせられる。4編それぞれに面白さのポイントは違うのだけど、「特異点」がテーマであるという点でゆるやかにつながっている(そういう意味で、「バベルの牢獄」だけが異色」という意見には与しない。むしろ「引き立て役倶楽部の陰謀」がわたしには異色なものに見えた)。ミステリにもSFにもそれほど興味のない身としては、紙の本でしか味わえない仕掛けがほどこされている「バベルの牢獄」が読んでいて一番楽しかった。


8日(火)

きょうの晩飯は湯豆腐。近所のスーパーでセールしていた「たっぷり鍋豆腐」という、 かなり柔らかい充填豆腐でつくったのだけど、いつもの木綿豆腐の感覚で箸で取ろうとしたら、どえらく難しくて、気合一発エイヤっと取り鉢にとっているのだが、その呼吸はおそらく金魚すくいに似ているのだという気づきを得た(とかいってないで網杓子使えよ)。


9日(水)

本日は休み(そのかわり来週は倍働く)。体調がずーっとぐずぐずしてるので、午前中は布団の中で本を読んでいた。

マリコ マリキータ (文春文庫)
池澤 夏樹
4167561018

今コレ読んでます。



昼うどん。一味とうがらしをかけるつもりで、誤って粗挽き黒胡椒をかけてしまった。これはこれで、うまくないことはなくなかったので、みんな注意して!ねぎとたまごだけのうどんに黒胡椒は強すぎるから!

ベランダの皆さんのうち、寒さに弱い皆さんを部屋に招き入れる事業を行う。


冬の風物詩、ベランダ民ズ・コンセントレーション・キャンプ。


夜、某呟き処にて、読書会の話が持ち上がる。課題図書はイスマイル・カダレ 『夢宮殿』(創元ライブラリ)。

夢宮殿 (創元ライブラリ)
イスマイル・カダレ 村上 光彦
4488070701

話がまとまったはいいが、参加者全員、まずこの本を積読本の中から探し出すことからはじめなければならないという。なんとも業の深い話であることよ。


10日(木)

植物が部屋に入ってくると、帰宅時に「ただいま」というようになる。

『夢宮殿』発掘事業に着手。現在のところ、未発見。