2015-08-03

観察のためなら僕は許す――本日の「夏休み子ども科学電話相談」 2015/08/03

寝過ごしたのか暑さで意識を失っていたのか、今朝目が覚めたら8時半だった麩之介です。皆さま、いかがお過ごしですか。ちなみにそのとき見ていた夢は、ありとあらゆる事態が出来してどうしても最寄り駅に行き着けず、たのしいキャンプに行けなくなるという夢でした。正夢ですかこれ。


てなわけで夏の休日の唯一の楽しみといっても過言ではない「夏休み子ども電話科学相談」の放送開始に間に合いませんでした……


本日の先生方:

昆虫: 元 多摩動物公園 昆虫飼育係長 高家 博成 先生
動物: 井の頭自然文化園 前園長 成島 悦雄 先生
科学: 法政大学 教授 藤田 貢崇 先生
恐竜: 北海道大学 総合博物館 准教授 小林快次先生

……おっと、今日は恐竜先生が。これは「リスナーが置いてけぼりをくらう展開」必至だぞ。

進行は松本 慶子 アナウンサー。


本日の味わい深い会話。

松本アナ 「カモノハシ見たことありますか?」
小1女子 「写真とかで」
松本アナ 「どんな動物だった?」
小1女子 「なんか原始的な動物でした」

写真からそこまで判断していいのか。その後の先生との会話で

成島先生 「好きな動物はいますか?」
小1女子 「オサガメとぉ」
成島先生 「うん、オサガメと?」
小1女子 「ディンゴ」
松本アナ 「ビンゴ?」
小1女子 「ディンゴ」
成島先生 「ディンゴ!」

オサガメとディンゴって、激シブやな。ていうかよく知ってんな、と思ったら、将来は獣医になりたいと。てことはカモノハシが原始的な動物ってのも写真から判断したんじゃないな。さっきの会話の味わいが急速に失われてしまったけど、まあいい。


本日の影の声。

影のお母さん編

成島先生 「ユーカリって植物があって、あのー、植物ってたくさん種類があるよね?」
小2女子 「……」
お母さん 「はい」(小声)
小2女子 「はい」


影の先生編

成島先生 「1円玉ってわかるかな」
4歳児 「うん」
成島先生 「……あれ、1円玉って何グラムだっけ」
ほかの先生 「1グラムですね」(小声)


さて、今日は小林先生登場回ということで、すごい恐竜マニアが続々登場。

質問 「スピノサウルスは陸上で狩りをしていたのですか?」(小3男子)

この質問を受けて小林先生、

「スピノサウルスを知らない人もいるから、ちょっとスピノサウルスの話しようか」

きましたね、先生が相手の力量をはかる時間です。そしてわたしたちが置き去りにされる時間です。

質問者 「スピノサウルスは背びれがはえてる18メートルの恐竜で、エジプトやモロッコで発見されました、etc. etc. etc...」

わたしにはすでに小3男子の後姿さえ見えません。わかっちゃいたけど。そして先生が説明しようとすると、「知ってます」「知ってます」「知ってます」! 先生が親戚恐竜のバリオニクスの名前を出すと、「腹の中からイグアノドンの骨が見つかった」と先回りして答える。きたぞマニア同士のつばぜり合いが! 二人はどこに!? 

小林先生「去年の秋に、スピノサウルスは水の中にいたという研究がでました」

先生、最新の研究成果出してきた!

二人の応酬が終了。もはや呆然となったわたしは質問がなんだったかさえどうでもよくなりました。

質問者 「あこがれの小林先生とお話しできてうれしかったです、ありがとうございました」

おお、電話つながってよかったな、恐竜少年!


質問 「恐竜はどのように小さくなって鳥に進化したのですか?」(小1男子)

すごいしっかりしてるぞ、小1男子……

小林先生 「鳥に進化したってよく知ってるね。どうやって知ったの?」
質問者 「小林先生のお話聞きに行って」

おっ、また「あこがれの小林先生」事案だ! しかし小林先生ファン多いな。「一般的には小さな肉食恐竜から進化したといわれてるんだけど、先生はちがうと思うんだよねー」 嬉々として話す二人にまた置き去りにされるわたし。ええ、慣れてます。


質問 「なにが進化して恐竜になったんですか?」(小3男子)

小林先生 「小3男子くんは恐竜くわしいですか?」
質問者 「くわしくはないけど……大好きです」
小林先生 「じゃあ大丈夫だ! エオラプトルって知ってる?」
質問者 「はい」

「くわしくはない」ってキミいうけど、ワシはそのナントカラプトルはしらんぞ……ああ、「『先生ほど』くわしくはない」って意味だね誤解してたよ。そうだね一般的水準は眼中にないよねキミたち。ははは。


このあとも「フクイティタン」が好きという小4女子(福井県で見つかった3種の恐竜の名前全部いえて、フクイサウルスの名付け親である小林先生とうれしそうに話してた)とか、先生の千本ノックをすべて受け止める小3男子(「○※サウルス(もう書き留めることを断念しました)知ってる?」「知ってます」「□◇サウルスは?」「知ってます」「♯♪£○※サウルスは?」「知ってます」「◎サウルスは?」「知ってます」……そのナントカサウルスたちをワシは以下略とか、琥珀の中の蚊から恐竜の血を採ってクローンをつくることはできますか、ってジュラシックパークつくりたいのかいキミは、の小5男子(「答えからいうと、できません!」って即答されちゃった。DNAはどんなに完全に保存しても、遺伝情報は500年くらい経つと半分壊れ、700万年で完全に壊れてしまうそう)とか、濃ゆすぎて、おなかいっぱいです。好物だけど、もうね、うん。


本日の個人的にお気に入りの質問ふたつ。

質問 「アレルギーはたんぱく質に反応して起こるとききましたが、金属アレルギーはなぜ起こるのですか?」(中2女子)

質問者は、先の質問で先生が「チタンは金属アレルギーを起こしにくい」というのをきいて疑問をもったのだそう。以下、藤田先生の説明。

「わたしたちの体は自分自身のたんぱく質と、外から入ってきたたんぱく質を区別する仕組みと、それを攻撃する仕組みをもっている。金属アレルギーは、金属そのものに攻撃反応が起こるわけではなく、金属に触れている部分にかいた汗に金属が溶け、その成分が皮膚や粘膜のたんぱく質と結びついて新しいたんぱく質をつくる。これを体が異物と認識してアレルギー反応が起こる」

ほおお。わたくし金属アレルギーのため、腕時計のベルトは皮かナイロンにして、はずせるときはなるべくはずしていたりするのだけど、そういえばたしかに夏場ひどかった。これは知らんかったな。うん、勉強になった。


質問 「 コオロギが脱皮したら翅の数が減ったのですが、なんでですか?」(小5男子)

自分で飼っているコオロギを観察して見たと。よく見てるなあと感心。わたしもコオロギ飼ってたけど、そんなのぜんぜん気づいてなかった。以下、高家先生の説明。

「翅が4枚から2枚になるのはオス。翅を動かす筋肉はとても大きく、動かすのにエネルギーが必要。オスは新しい土地に飛んで行って繁殖する場所を決めると、もう飛ぶ必要がないので飛ぶための後翅を自分で落してしまう。メスは飛ぶ必要があるので、翅は4枚のまま」

高家先生 「後翅は取れるけど、前翅は取れない。なんでかわかる?」
質問者 「鳴くため!」
高家先生 「そう! 発音器官だからだね!」

先生めっちゃうれしそう。

高家先生 「こんどメスのコオロギの翅、グイッて広げてみて」
質問者 「メスがいたら翅を見せてもらおうかなあ。……ちょっとかわいそうかなあ」
高家先生 「ううん大丈夫、観察のためなら僕は許す!

「だ れ が 許 す っ て!? というメスコオロギの声が聞こえた気がしました。


今日は知らないことが多くて勉強になったなあ。面白かった!

2 件のコメント:

  1. 面白いですね・・・笑。
    恐竜マニアのつばぜり合い、レベルの高さにびっくりします。
    自分はここに登場する恐竜は一匹たりとも分かりません。
    オサガメとディンゴというのもすごい、自分はどちらも形態が思い浮かびません。
    お子様の特定興味分野の深い知識は恐ろしい・・・。

    金属アレルギーの理由はためになりました。そういうことだったのか。
    ちなみに自分はとくに金属アレルギーではないですが、体に何かがまとわりついているのが嫌で、自分も腕時計を付けるの苦手だったりします。

    返信削除
    返信
    1. れぽれろさん、コメントありがとうございます。

      すごいんですよ。恐竜先生登場回は、なんでかお子たちのレベルがすさまじく高いんです。
      ほんとに好きで好きでたまらないんだろうなあ。わたしもきらいではなかったけど、ここまでは。

      ディンゴはね(笑)。放送時、「ディンゴは、あの、犬です」って成島先生が松本アナに説明してました。小声で。
      野生の犬ですね。ワンワン吠えないんですよ。犬が吠えるのは、人間とのコミュニケーション上の要請のようです(ってわたしもけっこうマニアかも)。オサガメはでっかいカメです。すんごいでっかいの(マニアじゃないかも)。

      金属アレルギーの話は、わたし考えたことなかったんです。そういや、アレルギー反応はたんぱく質に対して起こるもんだよな、金属にたんぱく質ないのにな、って、聴いてて思い出したくらいで、中2女子さんすごいな、って思いました。

      削除