2015-05-04

獺和尚

深くて流れの速い川のへりの、大きくて平らな一枚岩の上で、二十人ほどの男女が奉納する舞だか演武だかの稽古をしているのを上から眺めていると、その中の男性がひとり突然川に飛び込み、腰まで水に漬かりながら歩いて行って、いつ逃げ出したのかはわからないが、群れを離れたらしき男性を捕まえる。捕まった男性は岩まで引きずられて来る。岩の上では裸になった人々が激昂してなにごとか叫びながら団子になって揉み合っているが、その中に昔知っていた女性の顔を認めて少し動揺し、それでもその騒ぎを見ていると、祖母の葬式以来十年以上会っていない従妹に「よしなさいよ」とたしなめられる。いつの間に下りたのか、川べりにいるわたしは、何に使うのか定かでない、網目のプラスチック板が二重になっている器具を持ち、その上の板から下の板に、水を吸って白くなった生米を、片手だけでなんとか移そうと四苦八苦している。米が一粒こぼれた。ああ、これでもうだめなんだ、と観念すると、あとはなしくずし的に米がこぼれていく。小さな魚たちが集まってきてせわしなく泳ぎ回り、小さな口で米を食べている。その様子に見惚れていると、丸顔が異様にかわいい獣が泳ぎ寄ってくる。米を食べに来たのだ。あれなんだろう、ああ、カワウソだ、と思う。いや、そんなはずはない。白っぽくて大きいまん丸な顔はカワウソの顔じゃないし、体色も薄茶と白の斑だし、だいいちカワウソは米を食べない。獣は夢中で米を食べている。もうこぼしてしまったのだから、どうなとなればいい、と器具に残っていた米をすべて水中に投じる。獣はわたしの顔を見上げながら、米を集めては口に運んでいる。その様子があまりにかわいくて、カメラを取り出して写真を撮ろうとするが、ぶら下がっているカメラケースが写りこんでしまい、うまく撮れない。三ショットほど失敗を繰り返して焦っているうちに、カメラが電池切れ。隣にいた従妹に、「写真撮って!」と懇願すると、なにか警告のようなことをいいながらも撮ってくれたので、安心する。獣のほうを見ると、袈裟を着て、水面に迎えに来ていた輿に乗り込もうとするところだ。輿には獣と同じ位の体格の小さな坊主が乗っており、早く乗るようにと獣を促している。行かれては困る、と焦ったわたしはカバンを引っ掻き回して、ひと袋のライ麦パンを見つけて取り出し、袋を少し開けて獣のほうに差し出す。従妹はなにもいわないが、非難するような目でわたしを見ている。
#夢

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